会社を辞めてしまう前に②〜傷病手当金編〜


「体調を崩した、怪我をしてしまった」なかなか良くならないから、今の仕事は続け難い、、と会社を辞めようか悩んでいる方がいらっしゃったら、まずこちらの記事を読んでみてください。これまで続けてきた会社、沢山支払ってきた保険料、皆さんにはそれらの恩恵を当たり前に受け取れる権利があるのです。

会社に勤めていると、一定条件を満たす場合に限り、5つの社会保険への加入が義務つけられている事は、皆さんご存知かと思います。※一定条件とは①週労働時間20時間以上②月額8,8万円以上③勤務期間2ヶ月超④従業員101人以上の企業等(2024年10月以降には従業員51人以上に変更予定)5つの社会保険とは健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険です。多くの方が、これらの社会保険がどのような時に具体的に活かされていくのか知らないまま、または活用する機会の少ないまま、毎月の保険料を支払っています。

病気や怪我をされた場合、健康保険が活躍していきます。但し、退職を告げてしまったら、全て手放してしまう事になるので、その前に傷病手当金について知識を深めていきましょう。

健康保険の傷病手当金とは

傷病手当金は、被保険者が病気やけがで働けなくなった場合に支給される給付金です。健康保険から支給され、一定の条件を満たせば退職後も一定期間受給することができます。

  • 支給条件: 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと。休業した期間について給与の支払いがないこと。業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること。(医師の診断書が必要)
  • 支給額: 給与の約2/3の額。支給開始以前の直近12ヶ月間の標準報酬月額(平均額÷30×2/3)※計算例は下記参照

  • 支給期間: 休業開始から最長1年6ヶ月。 休業日数は待期(3日間)完了後からの休業日数がカウントされる。待機期間に土日祝日を含める事も可能。下記ご参考にしてください。

待機期間3日後から、毎日休んだ日数、1年半も補償されるのはありがたいですね。

医師診断書には病名、治療内容、労働不能期間などが記載されますが、ハードル高く思わずに、まずは現状をそのまま相談してみましょう。私自身勤めていた時は、産婦人科医、外科医、循環器内科にて診断書を実際に出してもらった事があります。傷病手当金を申請した事のある私の友人は、整形外科でした。まずは、躊躇せずかかりつけ医に相談してみましょう。

退職後も受け取れる傷病手当金(継続給付とは)

退職後も条件を満たせば、傷病手当金を引き続き受給できます。具体的には、以下の条件が必要です。

  1. 1、退職前日において健康保険の被保険者であること。(資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上)
  2. 2、退職前日(被保険者資格喪失日の前日)に傷病手当金を受給しているか、または受給資格があること
  3. 1、2を満たせば退職後も(被保険者資格喪失日以降も)引き続き支給を受けることができます。

休業して傷病手当金を受給しているけど、様々な事情があって退職される方は継続給付の手続きをご検討されてもいいかもしれません。但し、傷病手当金を退職後はじめて申請は出来ません。上の図のように、退職前には休業している必要があります。

健康保険と雇用保険の併用

前回の記事で「雇用保険から支給される育児給付金と健康保険の傷病手当金は、同時に受給出来る。」という説明をさせていただきました。もし傷病手当金を受給しながら退職に至り継続給付を受ける場合は、雇用保険から支給される失業給付金と、健康保険の傷病手当金は同時支給されません。但し、退職後に傷病手当金の受給資格がある場合、失業給付金の受給期間を延長し受給を受けることができます。退職後も、手順を踏めば健康保険と雇用保険に両方に生活をしばらく守ってもらえそうですね。

傷病手当金+付加給付金

一部の健康保険組合では、傷病手当金に加えて付加給付金が更に支給されます。付加給付金の支給条件や額は組合によって異なりますが、私の加入していた健康保険組合では、傷病手当金(法定給付67%)に加え、傷病手当金付加金(付加給付金13%)、給与の80%が補償されました。一度ご自身の健康保険組合の内容を調べてみても良いかもしれませんね。

付加給付金で受け取れる額が上がっても、傷病手当金は非課税所得なので課税対象にならないため、住民税や所得税に反映されません。これは有り難いですね。

最後に。

体に負担が出てからも、「休みずらい、人手が足りない」という理由から、数年無理を続けてしまった結果身体に支障が出て、辞める決断(又は転職)をしてしまう。私の身近でも、よく耳にします。そんな方のほとんどが健康保険に加入し毎月高い保険料を支払っているのに、身体を酷使し会社に貢献した末、保険を活用せず辞めてしまう決断をされてしまっています。

実例で、会社を辞める前に相談してくれた友人に、健康保険の傷病手当金の存在を説明したところ、実際に取得に至れました。「自分が取得出来ると思わなかったし、考えもしなかった。知れて良かった。」という言葉をもらい、皆さんにも、良いきっかけになればと思い今回のコラムにしました。

世の中には、身体の不都合から、様々なご事情で会社を辞めようか迷われる方いらっしゃるかと思います。立場上、「周りに迷惑をかけてしまうのでは」という思いや、責任感が勝って方しまう方も多いかもしれません。

ですが、本当に自分が大変な時くらいは、会社を辞める事を選択せず、これまで頑張ってきた分会社に甘える事も、これまで支払ってきた分保険に頼る事も、これからの将来、家族や自分のためには大切な事かもしれません。

会社を続けるか、続けられないかは、一度身体を休めている間にゆっくりと考えれば良いのです。

理解と思いやりと感謝を持って、無理とストレスの少ない世の中に、日本も目指していきたいものですね。

本日紹介した内容は、健康保険に纏わる、ほんの1部の内容です。社会保険に加入していると、実は他にも沢山のメリットがあります。まずは、それら1つ1つを知っていくことから始めていきましょう。

GIS コンテンツ担当 清

もし記事の内容についてのご質問や、その他細かなご相談がございましたら、弊社在籍のCFPプランナーにお気軽にご相談ください。

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