これから出産や育児を控えられている中、会社を辞めようか悩んでいる方がいらっしゃったら、ぜひこちらの記事を読んでみてください。これまで続けてきた会社、沢山支払ってきた保険料、皆さんにはそれらの恩恵を当たり前に受け取れる権利があるのです。
会社に勤めていると、一定条件を満たす場合に限り、5つの社会保険への加入が義務つけられている事は、皆さんご存知かと思います。※一定条件とは①週労働時間20時間以上②月額8,8万円以上③勤務期間2ヶ月超④従業員101人以上の企業等(2024年10月以降には従業員51人以上に変更予定)5つの社会保険とは健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険です。多くの方が、これらの社会保険がどのような時に具体的に活かされていくのか知らないまま、または活用する機会の少ないまま、毎月の保険料を支払っています。
出産や育児を控えられている場合、健康保険と雇用保険が主に活躍していきます。但し、退職を告げてしまったら、全て手放してしまう事になります。
厚生労働省より引用
こちらの内容は、よく私達が耳にする一般的な情報かと思います。では更に、出産や育児に至るまでに起こりうる出来事や、その際健康保険と雇用保険がどのように活かされていくのかを、実例通して深めていきましょう。
目次
実例①産前産後休業に入る3ヶ月前に、切迫早産と診断を受けた。
産前休業前に、休みが続いてしまったらどうなってしまうのか。
傷病手当金が休んだ日数分支給されます。(待機期間3日間を除外)
そのまま産前産後と育児休業に入る事が出来ます。
全ての給付金は非課税です。
※傷病手当金の詳しい説明は、会社を辞めてしまう前に②をご覧いただければと思います。
体調に様々な変化が起きる中、産前まで働き続けるのは、身体にはかなりの負担がかかります。そして、お腹の張りなどの症状を主に、”切迫早産”等と診断を受ける可能性があります。無理をせず、まずは医師に診断書を書いてもらいましょう。そして会社に提示しましょう。「産前まで続けるのは難しいのかな」等と会社を辞める必要はありません。このような時は、健康保険が私達の生活と身体を守ってくれるのです。
実例② 育児休業中、病にかかり入院してしまう。
母親になると、産後間も無くして育児に奮闘する日が続き、ホルモンバランスも崩れやすくなるため、突如体調を崩す事があります。今回の実例は入院に至ってしまったケースですが、既に育児給付金を支給されている場合、更に何の補償あるのでしょう。
育児給付金とは別に、傷病手当金が完治するまで支給されます。
育児給付金は雇用保険、傷病手当金は健康保険、それぞれから支給されるという訳です。厚生労働省のサイトにも、このように明記されています。
厚生労働省より引用
更に個人医療保険にも加入されていたら、トリプルで給付を受ける事になります。すごい手厚さです。自分の体調を整える事を優先に、子供の預け先など、急な出費にも安心して充分に手配する事が出来ます。
実例③1人目の育児休業中、翌年年子を授かる。
休業したまま、連続して2人目にも適応されます。
雇用保険の条件を満たす場合、図のように連続取得が可能となります。
楽天総合保険より引用
このような連続取得は、お子様が年子または2学年差に限ってきますが、もし歳の近い兄弟を授かった際には、有難い制度です。
実例④男性育休取得の事例のない中小企業にて、父親も申請する。
事例がなくとも、育児休業は取得できます。
育児給付金の支給されながら副業も可能です。(就労規則で副業可に限る、副業収入に制限あり)
夫婦で同時または交代して、取得する事も可能です。
雇用保険では、男性も育児休業給付金の対象です。夫婦同時または交代でも取得出来ます。
更に条件を満たした場合、育児休業育児休業延長期間中も夫婦で交代し取得する事も可能です。下記、延長期間中の条件です。
1歳~1歳6か月の期間中に、夫婦交替の育児休業の取得(延長交替)が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
厚生労働省より
・子について、育児休業の申出をした被保険者又は配偶者が、当該子の1歳に達する日において当該子を養育するための休業をしていること。
・当該休業をすることとする1の期間の初日が当該子の1歳に達する日の翌日(その配偶者が当該子の1歳に達する日後の期間に当該子を養育するための休業をしている場合には、当該休業をすることとする1の期間の末日の翌日以前の日)であること。
実例のお話しは、男性の育児休業取得率が今より少ない2015年の事、就労規則や雇用保険の条件を満たしていたため会社へ申請したところ、夫婦同時に取得し更には副業も出来たという内容でした。
現在は、令和4年10月の法改正により更に柔軟で利用しやすい内容になりました。なので、もし会社で事例がなかったとしても、まずは申請してみる甲斐はあるかと思います。
子供の成長は振り返ると一瞬の事ですから、夫婦で子育てを協力し合い、その時間を共有し合える機会があるのは、とても有難い制度です。
Magnus Liam Karlsson/imagebank.sweden.se
日本でも将来このような光景が当たり前になったら、素敵な社会ですね。
以上、4つの実例を元にお話しさせていただきました。
最後に育児休業給付金の支給額の目安について、下記ご参考にしてください。
育児休業給付の1支給単位期間ごとの給付額(※1)は、「休業開始時賃金日額(※2)×支給日数(※3)×67%(ただし、育児休業の開始から181日目以降は50%)」により、算出します。
厚生労働省より引用
正確な金額はハローワークにご提出いただく雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書により、休業開始時賃金日額が確定し、算出されますが、育児休業給付金における1支給単位期間において、育児休業期間を対象とした賃金の支払いがない場合の支給額は、育児休業開始前6か月間の総支給額により、概ね以下のとおりです。
・平均して月額15万円程度の場合、育児休業開始から180日目までの支給額は月額10万円程度、181日目以降の支給額は月額7.5万円程度
・平均して月額20万円程度の場合、育児休業開始から180日目までの支給額は月額13.4万円程度、181日目以降の支給額は月額10万円程度
・平均して月額30万円程度の場合、育児休業開始から180日目までの支給額は月額20.1万円程度、181日目以降の支給額は月額15万円程度
これから出産や育児を控えられてる中、様々なご事情から会社を辞めようか迷われる方いらっしゃるかと思います。立場上、「周りに迷惑をかけてしまうのでは」という思いや、責任感が勝って方しまう方も多いかもしれません。
ですが、大きな変化に立ち合う時くらいは、会社を辞める事を選択せず、これまで頑張ってきた分会社に甘える事も、これまで支払ってきた分保険に頼る事も、これからの将来、家族や自分のためには大切な事かもしれません。
会社を続けるか、続けられないかは、子育てしながらゆっくりと考えれば良いのです。
理解と思いやりと感謝を持って、産前産後休業や育児休業が取得しやすい当たり前の社会に、そして子供がいても働きやすい世の中に、日本も更に目指していきたいものですね🇯🇵
本日紹介した内容は、実例を元にした健康保険、雇用保険に纏わる、ほんの1部の内容です。社会保険に加入していると、実は他にも沢山のメリットがあります。まずは、それら1つ1つを知っていくことから始めていきたいですね。
次回は、本記事でも取り上げられた傷病手当金について、ご紹介したいと思います。
GIS コンテンツ担当 清
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