昨今では発展途上国のほとんどの国の人口が増加しています。逆に日本は人口も減り続けています。なぜこの様な現象が起きているのでしょうか。答えはシンプルです。発展途上国は国自体が成長しているため、日本は先進国としてすでに発展しすぎてしまったからです。
国際連合およびJETROが出典している人口ボーナス期というデータがあります。人口ボーナス期とは、経済の高成長を支える要件の一つであり、各国や地域において中長期的に戦略的に開拓すべき市場を特定する上で非常に重要な材料の一つです。
海外不動産に投資する基準として、この人口ボーナス期は非常に大事な指標の一つになります。
人口ボーナス期で開拓市場を特定
ジェトロセンサー 2015年3月号
経済の高成長を支える要件の一つとなるのが人口ボーナス期だ。人口ボーナス期とは、総人口に占める生産年齢(15 歳以上 65 歳未満)人口比率の上昇が続く、もしくは絶対的に多い時期、若年人口(15 歳未満)と老齢人口(65 歳以上)の総数いわゆる従属人口比率の低下が続く、もしくは絶対的に少ない時期を指す。生産に携わる人口が増加することで経済の労働供給力を高めることが成長につながる。また、高齢者の比率が低いこの期間は社会保障費なども抑制しやすい。消費面では働く世代の拡大により住宅費や消費支出全般の増加が見込まれる。
従って、各国・地域の今後の人口構成を鳥瞰することは、中長期に戦略的に開拓すべき市場を特定する上
で重要な材料となり得る。
投資を行う上でもこの人口ボーナス期というのは大変重要な視点であり、僕が世界を周り投資判断をする基準としても、まずこの人口ボーナス期というのは渡航前のリサーチとしては必須の項目の一つとなります。
ではなぜこの人口ボーナス期が重要なのか。答えとして、人口が増える国は生産力もあがり色々と価値もあがり、自国の通貨も強くなればとにかく需要が増えます。例として、僕が投資しているフィリピンでは大型のショッピングモールが夜23時まで開いているにも関わらず、平日でも閉店までぎっしり人がいて、モールが足りないのでどんどん新たなモールが建設されているぐらいです。
僕が他にも投資しているエジプトも同じです。人口が爆裂に増えているため、何を作っても需要があります。モールも至る所に建設されています。これに比べて日本はどうでしょうか。平日のモールは閑古鳥が鳴いていますし、今新たにモールを作っても供給過多になるでしょう。モールもどんどん閉店しています。人口が減っているからです。
ここで、参考までに各国の人口ボーナス期を比較してみましょう。下記は人口ボーナス期が終了年のデータです。
- フランス 1989年
- 日本 2005年
- 米国 2014年
- ロシア、韓国 2025年
- 中国 2034年
- シンガポール 2028年
- マレーシア 2050年
- フィリピン 2062年
- エジプト 2048年
- 南アフリカ 2070年
国連は「世界人口見通し(WPP)」の中で、2100年までの世界の年齢別人口を長期予測している。
ジェトロセンサー 2015年3月号
この統計を見ると、エジプトは2048年、アフリカ自体はなんと2089年まで最低ラインで人口ボーナスが継続すると言われています。エジプトだけでも向こう20年以上はまだまだ人口も経済も成長し続けるというイメージです。
韓国や中国は今や日本より人口が減っていますが、国としての伸びしろはまだ日本よりは勢いがあります。シンガポールはすでに成長しきっていますが、まだ頭打ちしていないです。マレーシアは治安が大変良いだけでなく、このデータではやはりまだまだ成長を続けています。アフリカは世界最後のフロンティアとしてどこの国も基本的にまだまだ人口ボーナス終了年は先となります。
日本のピークは2005年です。
そうなんです。日本はすでに約20年前にピークが終わっているんです。ここ20年間で日本が全く成長していないという話が有名ですが、無理もありません。人口が減り続けているのに成長は難しいです。
そうすると、自分の資産を守る、増やすためには成長している国への投資が適切という結論に至ります。ただ、他にも人口ボーナス終了年がこれからの国は沢山あります。海外不動産へ投資するにあたり、この人口ボーナス期を一つの指標として活用するのが大変おすすめです。