日本人は世界でも類を見ない大のお風呂好きなのではないでしょうか。皆さんは毎日湯舟に浸かっていますか?
日本には温泉が豊富という事もお風呂好きが多い理由の一つとして考えられますが、どの家庭にも必ず浴槽があり、特に寒い季節は毎日湯を沸かし入っているという方が多いのではないでしょうか。また、リフレッシュ目的でスーパー銭湯等へ行く方もいらっしゃいますね。季節に応じた植物を湯に入れる習慣があったり、また、もっと手軽にどこでも簡単に手に入る多種多様な入浴剤、日本人は老若男女お風呂を楽しむ文化が生活に根付いています。しかし皆さんご存知の様に日本同様、湯舟に浸かり身体を温めるという事をする国はとても少ないですよね。
バスリエが行った7500人(東海圏)の調査によると95%の人がお風呂が好きという結果でした。
カナダのお風呂事情
私がカナダでホームステイをしていた家庭では必ずシャワーは15分以内に終わらせる様に言われていました。単純に家族が多いから、あまり長風呂しないでね!という事だと私は思っていました。もちろん日本の様にバスタブに水を張るなんて事はないので、15分もあれば余裕でシャワーを済ませる事が出来ていましたがある日、いつもの様にシャワーを浴びていると突然お湯が出なくなり水になってしまったのです。頭は既に泡だらけの状態だったので寒さに震えながらも急いでその日は水で洗い流しました。シャワー後すぐにホストマザーにお風呂での出来事を話し、故障かもしれない旨を伝えました。
するとホストマザーは「今日はあなたが家族の中で最後に入ったから、お湯がなくなっちゃったんだね。」と言われました。お湯がなくなる・・・??と理解しがたい返答だった上に、私の語学力ではその後のホストマザーの説明を全て理解する事が難しかったので、自分でよく調べてみる事にしました。するとどうやらカナダのほとんどの家は貯湯式というお湯を作る仕組みが主流の様で、貯水タンクの水を貯湯槽に貯め、その水を沸かしてお湯を作るというものの様です。お湯を使う時は、この貯湯槽からお湯をひいてきます。その為、貯湯槽のお湯がなくなると、再度お湯を沸かして貯める迄お湯を使う事が出来なくなるらしいのです。つまり、ちょうど私のシャワー中にお湯が尽きたという事だったのです。
日本ではお風呂の給湯スイッチ一つで瞬時にお湯がずっと必要な分だけ出てくるという生活を当たり前に送っていた為、この様な仕組みでお湯が出てきていたとは思いもよりませんでした。そして産まれて初めてお湯の貴重さに気が付きました。笑 ホームステイ期間が終わりに近づき、いざ次のハウスシェア先を探していると、貯湯式ではないからいつでもお湯が出るという事を売にしている家が何個か目につきました。日本ではなかなかセールスポイントにはならない条件ですよね。国によってこんなとこも違うのだなと実感しました。
日本でのお湯を作る仕組み
ガス式と電気式があり、ガス式は給油機の中のパイプを直接熱することでお湯が出る仕組みです。電気式は貯水タンクの水を電気ヒーターで熱し、タンク内のお湯になった部分を出すという仕組みです。つまり、カナダの作っておいたお湯を出すという仕組みに対し、日本はお湯を作りながら出しているという仕組みなのです。この様な事情もあり海外では湯船にお湯を貯めるという事が物理的に出来ない為、湯船に浸かるという文化があまり浸透していないというのもあるのかもしれませんね。
バンクーバーの水道水
私が住んでいた10数年前はもちろん、現在でも水道水をそのまま飲む事が出来ます。ちなみに私が日本で飲んでいた水道水より遥かに美味しく、夏でも冷たい水を飲む事が出来た為、在住中にミネラルウォーターを買った事はありませんでした。働いていたレストランでも水道水をそのままお客様に出していました。また、一軒家でなければ水道は無料(家賃に含まれている)という所がほとんどで、私が住んでいたマンションでも水道代がかからない為、使い放題でした。その分冬の寒い時期は室内ではTシャツで過ごせる程暖かくするので、電気代がかかりますが、水道代がかからない上に貯湯式のマンションではなかったので、毎日私はバスタブにお湯を貯めて入っていました。
旅のお供に水!?
日本は水資源が非常に豊かな国です。その為日本ではきれいな水をそこまで気にせず使用する事ができます。また、安価で買う事が出来るミネラルウォーターもたくさんあります。一方、海外ではシャワーから黄緑色の水が出てきたり、歯磨き後の口をゆすぐ水でさえもミネラルウォーターを使わないといけないなんて国もありますよね。メキシコへ旅行に行った際は、ビールよりも水の方が高いなんて衝撃的な事も分かりました。笑
昨今の円安に加え、物価高によりアメリカで500mlのミネラルウォーターを買うと安い物でも約200円前後、空港では700円前後もするそうですね。先日、ゴールデンウィークに出国する方達のスーツケースの中身を調査するというテレビ番組を見ましたが、スーツケースに大量の水のペットボトルが入っている方が多数いました。水が高いから少しでも節約しようと思い日本からミネラルウォーターをたくさん持参しているとの事でした。持って行く荷物は少しでも軽いに越した事はないにも関わらず、わざわざ重たい思いをしてまでも、海外へ持って行きたい程の価値ある物に水がなるとは思いもよりませんでした。
こう考えみると案外身近で当たり前にある物が、ある日急に意外な価値を見出すなんて事があるかもしれませんね。常にあらゆる所にアンテナを張り見落とさないようにしたいものですね。