今年9月2日、マレーシアのクアラルンプールに筑波大学マレーシア校が開校し、第1期生の入学式が行われました。
なんと日本の大学が、日本の学位を授与する学部を海外に設けるのは、マレーシアが初となります。
『科学的根拠に基づく学際的なサイエンス教育を行うこと、創造的な解決をもたらすデザイン思考を組み込むこと。』を主旨とし「学際サイエンス・デザイン専門学群」がマレーシアトップ大学である国立マラヤ大学内にて新設され、注目を集めています。
“講義は日本語と英語で実施され、日本語は必須”との事。
現在マレーシアで、多言語かつ他言語を学んでる子供達からすると、”日本語必須”との響きは何だか新鮮です。そして筑波大学の教授や准教授がマレーシア校にて講義されるのですから、日本人としては何とも魅力です。
9月の1期生の入学人数はマレーシア人7人と日本人6人が計13名、という定員割れスタートではありますが、これから益々注目され学生数が増えていく事でしょう。
筑波大学というネームバリュー、そして海外大学進出よりもハードルか低く、日本での知名度と就職にも強い点、日本語と英語に重きを置いているという日本人にとっては負担が少なく、将来性兼ね揃えたバランス良さ。
日本に住んでる学生、いつか日本に戻ろうかと考えてるマレーシア在住の学生、国籍問わず日本が好きな学生にとっては、魅力的な選択肢に思います。
ちなみに我が家の子供達は、マレーシアに移住してからも変わらず日本大好きです。特に息子は『大学は日本にする』と決めているようで、毎日日本の歴史漫画に釘付けな程です。そのため日本の分校がクアラルンプールに設立したという出来事は、現時点の我が家には嬉しいニュースでした。(行く行けるかは別として。笑)
マレーシアに開校する狙いについて、筑波大学学長である永田恭介学長は、少子化問題についても取り上げた上で、下記のように述べています。
『今後益々人が足りず、科学技術も進歩せず、国全体が困る。既に大学では多くの大学の偏差値が0.5とか1ずつ下がり始めている』
『この危険な状況で、大学で外国人を受け入れる場合、1年程度の留学では国に有益な人材に育たない。海外の高校生を受け入れない限り、本当の意味で少子化対策にはならない。優秀な高校水準の人材は世界中で取り合いになっており、勝ち抜かなければ、国が滅ぶ』
今回の試みには、少子化対策や国力低下の解決策も込められているようです。
日本の少子化問題が、いかに現在の教育の現場にも大きな影響を与えはじめているのかが分かります。
さて、マレーシアには他にも国外大学の分校が複数あります。現在、オーストラリア、イギリス、アイルランド、中国から10の外国支部キャンパスがあります。
これらのマレーシアの分校に入学するメリットとしては、母国キャンパスと同じ構造と内容のプログラムを受講する事が出来るにもかかわらず、授業料と生活費を節約できる点にあります。
更に海外の母国キャンパスで学ぶ学生と同じ資格を取得できるため、費用対効果が非常に優れていることで、とても人気が高いです。
(但し、マレーシアの筑波大学分校は日本の学費の2倍とのことでしたが、、悲)
下記国外大学のマレーシアの分校です。
●ノッティンガム大学
ノーベル賞3人輩出し、第10代マレーシア国王が卒業したとされる、由緒正しきイギリスの名門大学です。
●アモイ大学
中国で12位、アジアで37位、世界で400位台(THEランキング)にランクされる2016年マレーシアに開校した初めての海外分校です。
●モナシュ大学
豪州のトップ8大学(Group of Eight)の一つであり豪州で最大規模を誇る州立総合大学、日本人留学生に人気の学校です。
他7校、
- カーティン大学
- スウィンバーン工科大学
- ヘリオットワット大学マレーシア校
- ニューカッスル大学医学部
- サウサンプトン大学
- レディング大学
- アイルランド王立外科医師会およびユニバーシティ・カレッジ・ダブリン・マレーシア・キャンパス
他にもマレーシアには、
マレーシアの大学とイギリス、オーストラリアなどの海外の提携大学の2つの大学の学位を同時に取得できる【ダブルディグリープログラム】
マレーシアの大学には欧米の学位が取得できる【ツイニング・プログラム】
等、マレーシアにある大学には、世界へ向けて視野の広がる選択肢が沢山あります。
インターナショナルスクールの豊富さに加え、海外大学進学の選択肢の多さ、かつコスパ良さと治安良さのバランスが、現在マレーシア留学が注目される理由です。
その選択肢に、日本の大学も加わった事はマレーシアに住む私達としては身近でとっても嬉しいニュースでした。
日本含め世界の教育環境に変化がある現代、これからの子供達の未来と可能性を楽しみにしたいものですね。
GIS コラム担当 清